【朗読】君がいなくなってから
何故か春は別れが多い季節。
今年の春もまた別れがありました。
春になると色々なことを思い出します。
楽しい気持ちも悲しい気持ちも。
そんな思いから書いてみた台本です。
愛される台本でありますように。
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君がいなくなって、
どのくらい経ったかな。
あの日は桜が咲いていて
でも風が強くて
風が吹くと桜が全部散ってしまいそうな
そんな日だったね。
窓を開けて、風が吹いて
桜が沢山部屋の中に入ってきて
一緒に笑ったっけ。
君がいなくなってから、
君と歩いたこの道も
君と観たあの映画も
君と出会ったあの小さなバーも
僕は嫌いになってしまったよ。
君の笑った顔や怒った顔、
泣いた顔や目をキラキラさせている顔、
君が僕に見せたくれた顔を
思い出してしまうから。
記念日に夜景の見えるレストランではなく
僕らが出会ったあのバーに行きたいなんて
そんなことを言う女性は後にも先にも
君しかいないだろうな。
君がいなくなって、
僕は今更、家事の大変さを知ったよ
『僕らの家こんなに広かったかな?』
なんて文句を言いながら掃除をして
『夕飯何作ろう』
なんて言いながら献立を考えて。
君は凄いや。
これを全部一人でこなしていたんだから
僕には勿体ないくらいの奥さんだ。
君がいなくなってから、
僕は君がやりたいと言っていた事をしたよ
君が楽しみにしていた映画を観た。
僕はあまり好きじゃなかったけど
君はたぶん気に入るんじゃないかな。
君が行きたがってたカフェに行った。
ラテアートが有名なお店だったから、
人生で初めて頼んでみたけれど
僕には似合わない可愛さだったよ。
ラテアートをみて目をキラキラさせる
君の顔が見たかったなぁ。
そうそう、
君が気になっていた本の続編を読んだよ。
君が予想していた通りの展開になってた。
ただ一つだけ、間違ってたところがある。
…ヒロインはいなくなってしまったよ。
…まるで…君のように…
君がいなくなって、
君の置いていった物をまとめた。
その中には
お揃いで買ったもの
僕がプレゼントしたもの
君がおねだりして買ってあげたもの
色々あった。
君が作ってくれたご飯。
そのレシピ本まであったよ。
こうなるのが分かっていたのかな?
所々濡れていて、インクが滲んでいたよ
君は何を思いながら、何を考えながら
これを書いていたんだい?
こうなるなら、一緒に料理をするんだった
君の【一掴みくらい】はどのくらいだろう
君の【適量】はどのくらいなんだい?
僕はそれすら分からないんだ…
君がいなくなってから
沢山のことに気付かされたよ
君の偉大さ。君の大切さ。
君がいなくなる悲しさも。
もっと『ありがとう』って伝えれば良かった
もっと『愛してる』って言えば良かった
もっとああしていれば、
もっとこうしていれば、
って、今になって思うよ。
いなくなってからじゃもう遅いのに。
桜を見る度に君を思い出して、
桜が散る姿に胸が苦しくなる。
桜の花がもう少し長く咲いていてくれたら
君とももう少し長く過ごせていたのかな。
沢山の愛をありがとう。
沢山の思い出をありがとう。
素敵な時間を僕にくれてありがとう。
もしまた会えたら…
僕は、君の笑顔がもう一度見たいんだ。
ー END ー
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