パーティの行方

【題名】
パーティの行方


【登場人物】
辻本真純(つじもとますみ):まこ
立花優人(たちばなゆうと):ユウト
芹澤司紗(せりざわつかさ):すふれ司
芹澤祭李(せりざわまつり):陽月
浅井千雅(あざいかずまさ):SEN
マスター&N:DarthVader



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【とあるカフェにて】(真純、優人)


001 真純:さてと。もうすぐあの時期な訳だが……どうする、相棒。

002 優人:……え?何が?

003 真純:だから、(咳払い)……もうすぐあの時期な訳だが……どうする、相棒。

004 優人:だから、何が?もうすぐなんの時期なんだよ。

005 真純:俺らの……お姫様の誕生日さ。

006 優人:あぁ〜!お姫様ね!ほんと可愛いよなぁ、俺達のお姫様はさ。あー、一度でいいからあの黒髪ロングに手をこう、スっとやってみたい……!

007 真純:お前なんの話ししてんの?

008 優人:え?俺達の長年のアイドル、ユリちゃんの誕生祭の話じゃないのか?

009 真純:違う違う!お前まだユリの追っかけやってんのか?

010 優人:さすがに社会人になって追っかけはやめたよ。身体がもたない。

011 真純:まぁ俺らもう……無理はできない歳だからな。あー、そういえば、言ってなかったけど俺ユリ推し降りたから。

012 優人:……マジで?

013 真純:おう。

014 優人:あの、真純が?……担降り?

015 真純:おう。

016 優人:ライブでユリグッズが出れば必ず全種類買い、限定版のCDもDVDも全て買い揃え、生写真は必ず全種類いくら積んでも揃えていたあの真純が?

017 真純:黒歴史掘り返すな。

018 優人:ユリ推しの中でも有名な、あの前髪天使さんが……担降り……?

019 真純:やーめーろー!俺のネット名を出すんじゃないよ、バカ!

020 優人:真純……。

021 真純:なんだよ。

022 優人:お前に何があったんだよ……。

023 真純:何もないから。あと、最初の話に戻すが、もうすぐあいつの誕生日だぞ。

024 優人:むちゃくちゃ急に戻すじゃん……。俺はお前の担降りがショックでそれどころじゃない……。てか誰だよあいつって……。

025 真純:はぁ……お前なぁ、元カノの誕生日くらい覚えておけよな。

026 優人:元カノ……?真純と仲いい子なんて居たっけ?

027 真純:……本気で言ってんのか?え、ボケた?

028 優人:面と向かってボケた?って聞くのは酷いだろ。んー……誰も思いつかない。

029 真純:司紗だよ!つ!か!さ!

030 優人:あー。司紗か。

031 真純:え、もう少し反応あるだろ?

032 優人:いや別に?……俺もうプレゼント用意したし。

033 真純:……え?

034 優人:ん?

035 真純:いや、何でもない。……で、毎年やってる誕生日会、今年はどうする?

036 優人:あ、それについてなんだけど、俺に考えがあるんだ。今年は任せてくんね?

037 真純:おぉ、わかった。じゃあ楽しみにしとくわ。

038 優人:色々詰めたらまた連絡するな!






【とあるカフェにて】(真純、司紗)


039 真純:さてと。もうすぐあの時期な訳だが……どうする、親友。

040 司紗:ん?

041 真純:いや、だから、もうすぐあの時期な訳だが……。

042 司紗:親友って私の事?

043 真純:もちろん。

044 司紗:あー……なるほど?

045 真純:異論は認めないよ?

046 司紗:あ、そういう感じ?

047 真純:うん。

048 司紗:おっけー?それで?

049 真純:もうすぐあいつの誕生日な訳だけど、今年はどうする?

050 司紗:あいつ……って誰?

051 真純:お前の元カレ。

052 司紗:元カレで真純と仲良い人……どれだ?

053 真純:(小声)え、何で?なんで同じ流れなんだよ……。

054 司紗:何か?

055 真純:いや何でもない。……話を戻すけど、もうすぐ優人の誕生日だろ?今年はなにかするのか?

056 司紗:する?任せるけど。

057 真純:お前はいつもサッパリしてるよなぁ。

058 司紗:高校からの仲だし、そんなもんじゃない?

059 真純:なるほど。

060 司紗:あ、そうだ。私やりたい事あるからさ、今年の誕生会任せてもらってもいい?

061 真純:お、おぉわかった。

062 司紗:あ、やば……もうこんな時間。ごめん私この後会議入ってるんだ。

063 真純:あぁ、忙しいとこ悪かったな。

064 司紗:大丈夫!……じゃあまた連絡するね!






【マスターのバーにて】(真純、千雅、マスター)


065 真純:という訳でさぁ、俺何したらいいと思う?

066 千雅:マスター!これ美味い!

067 マスター:それは何より。今シーズンの新作なんですよ。あ、お兄さんも食べます?

068 真純:あ、はい。……って、せん兄〜。聞いてる?

069 千雅:えーっと、なんの話しだっけ。

070 真純:誕生日会!高校の友達の!2人とも任せてって言うから任せたけど、俺は何したらいいんだ……。

071 千雅:んー、なんかコンセプトとか決めてみたら?

072 真純:コンセプト?

073 千雅:そうそう。最近はコンセプトパーティって言うのが流行ってるらしいよ?

074 真純:例えば?

075 千雅:例えば……例えば?

076 マスター:仮面舞踏会とかどうです?

077 真純:仮面舞踏会……。

078 マスター:まぁ参加する方々はおそらく顔なじみですからあれですけれども、こう、顔が見えない楽しさと言いますか、ドキドキ感は楽しめると思いますよ。

079 真純:いいですね!流石マスター!提案してみます。

080 マスター:お役に立てたなら何よりです。

081 千雅:いいな……パーティか。長い事やってないなぁ。マスターは色々な所に呼ばれてそうだけど。

082 マスター:いやいや、私も長い事ないですよ。最後に呼ばれたのは……もうかれこれ10年くらい前ですかね。

083 千雅:ちょっと意外だな。

084 マスター:そうですか?自分から主催というのもこのバーを初めてからはないですし。私にパーティは華やか過ぎます。

085 千雅:俺も同じ感じです。

086 真純:2人ともそのパーティ来ます?

087 千雅:へ?

088 マスター:いやいや、私はさすがに。

089 真純:じゃあ出張バー、なんてどうでしょうか?

090 マスター:出張バー……ですか。

091 真純:はい。そのパーティで良かったらその腕、奮っていただけませんか?

092 千雅:おい、お前さすがにそれは無茶振り過ぎるだろ……。

093 マスター:……面白いですね。ぜひ私でよければお引き受けしましょう。

094 真純:じゃあ詳しい事はまた決めましょう。お酒が入ってない時に。

095 マスター:はい、かしこまりました。

096 真純:やったー!いやぁ、超楽しみだなぁ。……あ、マスター カシオレ1つ。

097 千雅:俺にも同じものを。






【司紗・自宅】(司紗、祭李)


<司紗が祭李に電話をかける>

098 司紗:もしもし?お姉ちゃん?

099 祭李:何〜?どうした〜?

100 司紗:今度彼とお茶する事になってて、一緒に来てくれない?

101 祭李:こりゃまた急だね?どういうこと?

102 司紗:け……結婚。……考えてて。

103 祭李:ほう?なるほど。……つ、ま、り。お姉ちゃんと初顔合わせってこと?

104 司紗:うん、まぁ……そういう事。

105 祭李:そういう事なら、この私に任せな。お店とかは決まってるの?

106 司紗:うん。後でリンク送るね。

107 祭李:おっけー。洋服とかは?決まってる?

108 司紗:服なんていつもと一緒でいいよ。

109 祭李:だーめ!女はいつでも可愛く綺麗でいなくちゃ!その運命のデートの前にどっかで買い物行くよ!えーっと……来週の土曜日、空いてる?

110 司紗:う、うん。

111 祭李:あれ、ちなみにその運命のエックスデーはいつ?

112 司紗:今月末の予定。

113 祭李:ならタイミング的にもいいね。じゃあ来週の土曜日、1日空けといてね。お姉ちゃんとデートしよ♥

114 司紗:う、うん。わかった。

115 祭李:あ、ごめん、呼ばれちゃった!またね。

<電話が切れる>

116 司紗:また、ね。……あはは……。






【パーティ会場にて】


117 N:そして、パーティの日がやって来ました。

118 司紗:すいません。15時に予約している芹澤ですけれども。

119 千雅:……はい、15時に3名様でご予約の芹澤様ですね。……お連れ様はお揃いですか?

120 司紗:あ、まだひとり来ていないのですが。

121 千雅:お席でお待ちになりますか?

122 司紗:えっと……。

123 祭李:それでお願いします。

124 司紗:ちょっとお姉ちゃん!

125 千雅:かしこまりました。こちらにどうぞ。

126 祭李:は〜い。

127 真純:マスター、準備大丈夫そう?

128 司紗:あれ、真純?こんな所で何してんの?

129 真純:あ、あれ?司紗?集合時間は16時って言わなかったっけ……?

130 司紗:え?何の話?

131 真純:え?俺連絡したよな?

132 司紗:ん?……(携帯を確認)あ、そういえば私携帯壊れて変えたんだった。……なんか約束あった、っけ?

133 真純:ちょっと待ってくれ。

<真純が優人に電話>

134 真純:もしもし?優人?

135 優人:おぉ、真純。どうした?

136 真純:どうしたじゃない!お前今どこにいるんだ?

137 優人:え?もう店の前だけど……。

138 真純:いいから早く来い!

<電話が切れる>

139 優人:おぉ、真純……あれ?

140 司紗:や、っほー。

141 優人:どういう状況?

142 千雅:おい、真純これ……。ん?

143 マスター:とりあえず座って話してみては如何ですか?こちらウェルカムドリンクです。


<間>


144 司紗:え、ちょっと待って。つまり、優人と真純はここで、私の誕生日会を開催しようとしてたって事?

145 優人:そう。で、諸々の連絡は、司紗には届いて……。

146 司紗:ない。

147 真純:司紗はここで何を?

148 司紗:あ、そうだ。ねぇ優人、あんた日付被ってるなら言いなさいよ。

149 優人:何の話だよ。

150 司紗:はぁ?お姉ちゃんと3人でお茶するって話!したでしょ?

151 優人:それは明日だろ?今日は無理って言ったろ。

152 司紗:え?嘘。

153 優人:嘘じゃないって。……ほら、ここ見ろ。日曜日、って事になってる。

154 司紗:……ほんとだ。私お姉ちゃんに連絡するの間違えた……。

155 祭李:それで、話はついた?

156 司紗:お姉ちゃんごめん〜!顔合わせ明日だった!

157 祭李:あら、司紗の連絡ミスだったわけ。

158 千雅:真純、パーティどうすんだ?

159 真純:あぁ、そうだ……。

160 千雅:こっちの準備は出来てるけど。

161 祭李:パーティ?

162 千雅:誕生日パーティーをしようって話をしていたんですよ。

163 祭李:あら!それならもうみんなまとめてやっちゃえばいいじゃない。

164 司紗:お姉ちゃん?!

165 祭李:パーティは大勢でやった方が楽しいし、顔合わせも、こういう場の方が色々わかるってものでしょ?

166 マスター:ではそのように変更で。こちら配りますか?

167 祭李:仮面?

168 マスター:本日は仮面舞踏会をコンセプトにお送りしようかと。

169 祭李:そういう事なら貰うわ。

170 真純:えー、それでは仕切り直して、パーティを始めましょう!


<間>


171 祭李:ねぇ?お酒もいい感じに回ってきた事だし……軽く自己紹介、しない?

172 真純:いいっすね!辻本真純、会社員やってます。で、今日はせん兄のカフェで誕生日会をやろうとしてました。……せん兄ー!

173 千雅:ん?呼んだか?

174 真純:こちらが、せん兄。このカフェのオーナーで、昔からの知り合い。

175 千雅:オーナーの浅井です。今日はありがとうございます。

176 祭李:浅井さん、お名前は?

177 千雅:あぁ、かずまさと読みます。

178 司紗:ん?じゃあなんでせん兄?

179 千雅:小さい時、真純俺の名前読めなくて、それで唯一読めた千からとって、せん兄って。

180 司紗:へー、可愛いとこあんじゃん。

181 真純:やめろよなぁ?……ほら、次お前。

182 優人:えぇ?!俺?

183 真純:何緊張してんだよ。

184 優人:いや、だって……その……。

185 真純:早くしろー。

186 優人:分かったよ……立花優人です。真純と司紗とは高校からの腐れ縁で。

187 司紗:それで?

188 優人:おま!……司紗の婚約者、です。

189 真純:お前結婚すんのか!良かったな!……ん?ちょっと待て、誰と結婚すんだ?

190 優人:司紗と。

191 真純:え?……お前ら復縁したの?それに結婚?聞いてねぇよ?

191 優人:まだ誰にも言ってないから、真純が知るわけないだろ。

192 真純:まじか……。

193 司紗:じゃあ次は私。まぁほとんど顔見知りだけど。芹澤司紗、近いうちに立花司紗になります。そしてこちらは姉の祭李。

194 祭李:どうも、祭李です。よろしく〜。

195 優人:よ、よろしくお願いします!

196 祭李:ふふ、優人くん、そんなに緊張しなくていいのよ?

197 優人:は、はい……。

198 真純:あの、祭李さん。普段はどんなお仕事なされてるんですか?

199 祭李:んーとねぇ、ちょっと耳貸して?……アイドル。

200 真純:もしや……ユ(司紗に口を塞がれる)

201 司紗:それ以上はダメ。

202 祭李:あら、司紗ったら。いいのに。

203 司紗:お姉ちゃんはもう少し危機感を持とうね。

204 祭李:はぁい。……あ、そうだ。ねぇマスター。貴方は?

205 マスター:私ですか?……私は、そうですねぇ。……マスターって覚えていただければそれで十分ですよ。

206 祭李:あら、イジワルね。教えてくれないの?

207 マスター:細かいところはお店に来た時にでも。

208 祭李:ふふ、今度伺うわ。

209 マスター:お待ちしておりますよ。……宜しければこちらどうぞ。

210 祭李:あら、私に?……これは?

211 マスター:アイ・オープナーというカクテルです。

212 祭李:ふふ……ありがとう。

<千雅が真純にこっそり話しかける>

213 千雅:おい、真純。

214 真純:ん?どうしたの?

215 千雅:そろそろケーキ出すか?準備出来てるぞ。

216 真純:あぁ、そうだな。頼むよ。

217 千雅:オーケー。ちょっと待っててくれ。

<ケーキ登場・間・店内BGMが変わる>

218 マスター:本日お誕生日のお客様がいらっしゃいます。司紗様……そして、優人様、真純様。お誕生日おめでとうございます。

219 司紗:わぁ!ケーキ可愛い!

220 優人:え、俺達も?

221 真純:ちょ、せん兄?

222 千雅:あはは、おめでとう、真純。

223 祭李:ほらほら!こっち向いて!

224 千雅:写真撮りますよー、はいチーズ。

225 司紗:ふふ……。2人の話を聞いたあと、店長さんにお願いしたの。二人の分も追加して欲しいって。

226 優人:なんだよ……びっくりすんじゃん……。

227 真純:全然知らなかった。

228 優人:司紗には叶わないな、ほんと。

229 祭李:そのくらいでいいのよ。……ふふ、優人くん、司紗をよろしくね?

230 優人:は、はい!

231 真純:あ、せっかくプレゼント買ったのに司紗の分しか持ってねぇや。

232 司紗:それはまた今度、また3人で渡し合いっこしよ?

233 優人:プレゼント交換か!楽しみだなー!

234 司紗:それはなんかクリスマスみたいだね?

235 優人:クリスマスからちょうど1ヶ月くらいだし、いいんじゃね?

236 真純:あはは!ほんと、今年の誕生日会はひと味違うわ!

237 優人:ほんと、この締まらない感じ、俺ららしいや。

238 司紗:そうだね〜。

239 N:5人の笑顔が溢れる店内。楽しそうな会話は夜がふけるまで続いた。……そんな5人を前に、マスターは1つのカクテルを作る。キール、カクテル言葉は『最高のめぐり逢い』。……5人は、「締まらない感じ」と言いながらもクリスマスと誕生日を合わせたような、幸せなこの日を忘れる事はないだろう。そして彼らは一斉に乾杯を始める……『貴方に出会えて良かった』という意味を込めて。


(終)


239のセリフは誕生日枠のDarthVader様のセリフより。

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